DELL XPS M1210の画面が映らない、表示が乱れるなどの症状、ブログサボリ期間のグラフィック修理が11台。
永く親しまれているであろう、このXPS M1210、1台を除き(リフロー)、全てチップセットの再実装修理です。
★2016年3月を以て、グラフィックチップの修理は、受付を終了しました。データ救出は対応可能です。
※修理詳細等は過去記事を検索して下さい。
M1210のGPU半田不良に陥ると、実に様々な乱れ表示になります。全く何も映らないのが最も多いですが、他にも、規則的な縦縞、ホワイトアウト、画面のにじみ、解像度が出ない、不規則な模様、などなど。
液晶パネルの不具合かと思わせるものも結構あるのが面倒。
もう旧機種といっても良いでしょう。そりゃー故障の原因となるホコリの溜まり方も半端ではありません。発熱により、壊れてしまったチップセットの半田は、これらのホコリを取り除いても、元に戻ることはありません。
リワーク会社にてチップのリボールと再実装を行います。
修理後の組み上げ。GPUとヒートシンク間には元々熱伝導用に薄い銅板とシートが挟まっています。
ここを同じ厚さの銅板に変更します。これによって熱の伝導率は格段にアップ。
画像は別機種用の銅板ですが、銅板代より、カット賃の方が高く付いてしまうのがイタい。
こんな1台がありました。全ての組み上げが終わり、バッテリーを付けようとすると素直にはまりません。何とか押し込んで、電源を入れると電源が入らない…。バッテリーを外すと電源が入る。何度やっても同じです。
とにかくバッテリーの付け外しが固くて困難。何かが邪魔している感じです。うーむ、仕方ない。再度解体します。
すると、バッテリーを固定するラッチが付いているパーツが歪んでいるのを発見。バネは外れていました。バッテリーを付けると、外れたバネがマザーボードに接触し、ショート、電源が入らなかったのだと思われます。
なぜこんなにひん曲がっているのか?構造を見てわかりました。このスライドするパーツはマザーボード端の下(裏側)にあります。マザーの上には故障したチップ。修理前に加熱歴があることには気付いていました。
中古入手とのこと、以前の所有者が筐体に基板を付けたまま、ヒートガンなどで強力なあぶりをしたのでしょう。そのため、裏側にあるプラスチック製のパーツが、巻き添えで溶けて変形しまったのです。
バネを留める出っ張りも折れていたので固定が出来ず…加工して取り付けました。ご依頼主に報告すると「どうりで。バッテリーがはまりづらいと思っていました」と。こういった小さな情報でも、ご依頼時に教えて頂けると作業時間の短縮に繋がります。よろしくお願いします。
お問い合わせ時に「ファンが回っていないのでは?」と疑問をお持ちの方がいらっしゃいます。実はそうなんです。以前の記事に冷却が優秀と書きましたが、使い始めCPUが熱くならないとファンが回らないのです。
個体差はありますが、回り出すのが70~78℃くらい。GPUに負荷が掛かり、発熱しただけではファンが回り始めません。困ったものです。これが再発の原因なのか、今まで2台ほどが再発しています。
ファンが回り始めれば、60℃台前半までGPUの温度は下がります。ためしにCPUにグリスを付けないで組んでみると、CPUの冷却不足によりファンは常時回転します。CPUは壊れても交換できます。この方が良いのでは?とも思いますが、依頼品でそうすることも出来ません。
再発2度目のお客様。もうこのチップはダメだろ、ということで、新バージョンのチップに載せ替えました。GF-G07400T-N-A3になります。非常に高価なチップです。
「愛着がある」と高額なリボール修理をご依頼のお客様多数。OSはXPから7まで様々でした。
★2016年3月を以て、グラフィックチップの修理は、受付を終了しました。データ救出は対応可能です。