HPのPavilion dv9200、画像が乱れるとのことでお預かり。
dv9000シリーズに多いグラフィックチップの半田不良でしょうか?詳しい症状とお客様の予想は…
液晶画面の上部1/3と中間部1/3が、使用中ないし起動直後から乱れる(画像が下に流れるような感じ)となります。下部の1/3のみ正常に写ります。既に、同様の症状(起動はするが画面が正常に映らない)で一度HPにて、マザーボードの交換をしております。再発、多分GPUの問題かと思いますが…。
なるほど、以前に画面が映らないという経験をされているため、GPUへ不信感をお持ちのようです。修理のご依頼はGPUの再実装。
さて、到着した機体の動作を確認してみましょう。
起動時にいきなり画面のにじみが現れました。これと全く同じノイズでGPU不良だった例は多数あります。
ガジェットの辺りにもノイズが走っています。
暫く放置していると、ご依頼内容にあった液晶パネルの乱れが(手ブレじゃないですよ)。
下側がビロ~ンと伸びてしまい、上部分が下側に映るなど滅茶苦茶。この乱れは液晶パネルを前後に少し動かすと一時的に解消します。
ただし外部出力は正常です。こちらは画面のにじみもありません。
これはGPUではないかもしれない…液晶パネル、またはケーブルの不具合かも。
パネルを動かすと正常化する。動かすことによって、どの部分に変化が生じるのか、検証しなければなりません。
まずはLCDケーブルから。ケーブルをつまんで動かすと、画面のにじみ(ノイズ)が解消することが判明。
ちょうどここはヒンジカバーから圧力を受ける部分。断線しかかっている可能性があります。
液晶パネルを分離し、パネル周りのベゼルも取り外し、ケーブルを露わにします。
LCDケーブルを抜き取りました。
押しつぶされるこのあたりが怪しいね。
内部を見るため布テープを慎重に剥がします。一体何本あるのか…この程度ではコードそれぞれの目視が出来ません。
ここまでひん剥いて、なんとかコードの束をほぐせました。
液晶パネルを再度装着し、どのコードをいじればノイズが解消するのか地道に点検していきます。映っているパネルに多数の白いドットがあるのがわかるでしょうか?これがノイズです。
1本1本触ってみて、ノイズの出現、消失を確認します。本数が多いので、診断が終わったコードは別けていかないと、どれをやったのかわからなくなって、一からやり直し。
そして、とある1本(絡み合った2本)のコードを特定しました。黄色とグレーのやつですね。
ガジェットのノイズがわかりやすかったので、合否判定にはこの部分を採用しました。
クロと断定したケーブルを虫眼鏡で丹念にチェックします。すると…見つけたぞ!黄色い方に切り傷。
絡み合った2本のコードをほぐしていくと、黄色側の内部はほぼ断線していました。パネルが動くことにより、ここが付いたり離れたり、これがノイズの原因です。
ちなみにこの部分は、ヒンジカバーで押しつけられる場所では無く、液晶パネルの下にあたる部分になります。劣化・破損では無く、初期不良ではないでしょうか。
再度ケーブルを外し、修復します。コードの被膜を切り取り、
半田付け。
ケーブルを取り付け、さぁどうでしょう。。
ノイズが消えました。
画面の崩れもこれが原因?しばらく放置してみると…
だめだ。他にも不具合箇所があるようです。
他のコードを検査するも傷や断線は発見できず。
画面が崩れた後、どこを触れば正常に戻るのか、あちこちいじった結果、パネル裏の基板をチョンとつつくと復帰することを突き止めました。
基板はプラプラしているので、固定してみますが、改善はありません。
液晶パネルの故障を特定し、新品のパネルを発注。
無事に復活となりました。
ちなみに疑われていたグラフィックチップの加熱も、検証途中で清掃がてら行っています。
画面の崩れはもう出ません。修理完了となりました。