前記事のDELL XPS M1210に続き、チップセットの熱伝導に銅板を使った例。機種はHPのpavilion tx2000。こちらもDELL同様、小さなPCです。
銅板は安易に使うものではない、という想像していた通りの結果が出ました。
HP tx2000(tx2500) 画面が映らない AMDチップセット再実装修理
tx2000、修理方法は過去に何記事か書いていますので、詳細は省きます。
仮リフローで画面表示が復帰しましたので、チップセットリワークの手配をします。本機のコーナーボンドは柔らか目。予め取り去っておきました。
回収した基板。CPUにシルバーグリス、チップセットには元々貼られていた軟性の放熱シートを剥がして1mm厚の銅板を挟んでみます。
CPUは爆裂温度の「Turion X2 Ultra ZM-80」、そしてすぐ横にチップセット。距離が近すぎます。ヒートシンクも共用で小さなもの。CPUの熱を拾って、チップセットの半田が再度壊れてしまうのでは?という危惧があります。
ICのダイに対し、銅板がでかすぎます。ずれてショートしてしまうと困るので、こちらもシルバーグリスを接着剤替わりにして、しっかり固定しておきます。
組み上げてBIOSのアップデート。キャラがポップですね。
さて、動作確認です。温度を測定しながら、DVDを再生してみます。CPUの温度はやはりUltra級。しばらく見守っていると…突然電源が落ちました。本体が異常発熱しています。
再度、起動を掛けCPUの温度を見るとこの時点でも85℃。高い…。どうやらCPUの熱でシャットダウンした模様です。この後、少し負荷を掛けてみると、また落ちました。
危惧していたこととは別の現象が起きました。発熱の高いCPUに、銅板を使って伝導してきたチップセットの熱が加わり、CPU自らが自己防衛のために電源を落としているようです。想像ですが、落ちた瞬間のCPUコアの温度は100℃を余裕で超えていたかと。
銅板ヤメっ。純正のへたったシートも使えません。
熱伝導にある程度優れたゲルシートで妥協します。
これで落ちなくなりました。ただし、CPUに負荷を掛けると95℃近くまで温度は上昇します。
出来るだけ負荷を掛けないか、ファン付きの台を併用して頂くようお願いしました。
このように、熱を逃がしすぎて不具合を起こすという例もあり、熱伝導に銅板を挟み込むのは臨機応変に、ということが実証できました。
HP tx2000 電源が入らない
こちらのtx2000は、電源を入れると、各部のLEDが一瞬点灯して落ちるという症状。重傷です。
CPUはAMD、チップセット・グラフィックはnVIDIAという組み合わせ。いろいろありますね。
チップセットの再実装修理完了後。CPUの発熱はそれほどでもありませんが、GPU側が高いです。こちらは銅板でも良かったかな。
お客様は冷却台をお持ちとのことですので、私の方でも試してみましょう。ファン部分に直接風を送り込むため、台の位置をずらしています。
GPUロード100%、温度的にはぼちぼち大丈夫という具合でしょうか。
tx2000は、一度内部の温度が上がってしまうと、なかなか落ちてきてくれません。冷却ファンが非力すぎですね。
ファン付きの冷却台、おすすめします。パソコンの下に隙間を作るだけでもいくらか違います。
逆に布団やクッション、絨毯などの上に直接おいて使用することは厳禁です。再実装したとはいえ、吸気口をふさがれてしまうとひとたまりもありません。
★2016年3月を以て、グラフィックチップの修理は、受付を終了しました。データ救出は対応可能です。