DELLのXPS M1210、グラフィックエラーが出た後、起動が出来なくなってしまった、とのこと。
今回は組み上げの際に、GPUとヒートシンクの間の隙間を、普段あまり使うことの無い「銅板」で埋めてみました。果たしてその冷却効果は?
これまで正常に使用できていたものが、ビデオ負荷が掛かった時にブルークリーンやグラフィックドライバのエラーメッセージが頻発するようになり、ついにはBIOS起動画面も出なくなりました。現在、本体液晶には一切何も映りません。Windows起動後(起動音で判断)、キーボードで外部モニタ出力に切り替える事により、640×480ドット16色ですが、Windowsが起動出来ている事を確認しております。
非常にわかりやすい経緯と現状のご説明。助かります。Windows7の導入や、Blu-rayドライブ、Bluetooth、Intel Turbo Memory他、多数改造されています。愛着が伝わってきますね。
さて、本体が到着。電源を入れてみると、普通に起ち上がってしまいました。ただし解像度が低い。
そして、画面を良く見ると、タスクバーに縦縞のノイズが出ています。やはりグラフィック不良です。
解体。ファン排気口のフィンに張り付いたホコリ。熱の逃げ場を塞いだことと、ヒートシンクに風を当てられなかったことで、GPUの半田が不具合を起こしたと思われます。
取り出したマザーボード。チップの仮加熱で正常表示を確認しましたので、BGA実装工場でのリワークを手配します。
GPUの半田リボールと再実装を終えて回収した基板。ヒートシンクの全体画像がないのですが、↑画像の、左から横並びの、GPU・チップセット・CPUを直線でつなぐ一本タイプ。各ICが適度に離れており、良い設計だと思います。また、狭い筐体の中、CPUとGPU間にチップセットを挟み、距離を置いているのもいい。
ヒートシンクの端っこが、修理したGPUに当たる部分になります。ノーマルは、画像のように放熱シートと0.3mmほどの銅板が挟んであります。これを取り払い、全てを銅で繋いでみたいと思います。
銅は、銀には及びませんが、非常に熱伝導に優れた金属。数年前から価格は高騰し、メーカー側のコストを抑えるためには多くの銅は使えませんね。今回は1.5mm厚の銅板を使用してみます。
さぁ、組み上げてテストです。ストレステスト開始後、数分で温度が下がるという、非常に珍しい現象が出ました。というか開始した時点の温度がすでに高めでした。
GPUロード100%で、最高温度は69℃。CPUは63℃。ひじょうに良いバランスが取れています。無負荷状態温度へ下がるのも早い。
一旦放置し、再度テスト。56℃開始で最高が61℃、平均60℃あたりです。普通はグラフが急激な右上がりを見せるのですが、十数分の高負荷状態でこのような横ばいグラフ、今まで見たことがありません。優秀!
ノーマル状態でテストをしておけば、比較が出来たのですが、この機種に関しては銅板の効果はあると感じました(同じ機種でも個体差はあります)。ただし、ホコリが詰まるとこのような効果は得られませんのでご注意を。
★2016年3月を以て、グラフィックチップの修理は、受付を終了しました。データ救出は対応可能です。
お客様がブログで紹介してくれました。ありがとうございます。
なべか掲示板代用ブログ http://d.hatena.ne.jp/h_nabeka/20120616/1339799274
次記事では、HP tx2500で銅板を試した失敗例を紹介しています。