SONY VAIO VGN-FZ51B 画面表示不良 3台

VGN-FZ51B

SONYのVAIO、FZ51Bの画面表示不良、ご依頼の多い機種・症状です。

いままで、この機種はリフロー修理での成功率は100%、再発は0、という結果が残っています。今回は初めてのGPU再実装修理の依頼(2台)。3台のうち、直ったものが1台、保留が1台、断念が1台となりました。

nVIDIAのリコールチップですが、不具合発症の原因はやはりホコリ。冷却不足です。

VGN-FZ51B

まずは1台目。ホコリが熱い空気の出口を完膚無きまでに塞いでいます。ホコリが付着したフィン(金属)は、GPUやCPUと繋がっていて、この金属に風を当てることでそれらを冷やしています。

お客様はこの画像を見て、いままで使ってきたパソコンにこんなにホコリが溜まっているとは思ってもみなかったと、ある意味感動されていました。

PCのホコリ

GPUの仮リフローで画面表示の復帰を確認。実装工場でチップのリボール再実装を施します。

VGN-FZ51B

修理は無事に完了しました。

VGN-FZ51B

2台目、こちらはリフロー修理依頼。症状は、電源を入れるとビープ音が鳴り、画面は真っ暗なままで起動しないというもの。

GPUをリフローすると、ビープ音が止みました。やはり原因はここか。しかし、依然として画面表示はありません。さらに温度を上げて加熱するも改善はなし。

チップ自体が故障している可能性があります。チップの載せ替えとなると、チップ代+再実装代、ということになり、リフロー修理のご予算を大幅に超えてしまいます。お客様にお聞きすると修理は断念とのお返事。この機体の修理はここまでとなりました。

VGN-FZ51B リフロー

3台目です。症状は、画面がにじむ。画像のようになります(Windows7が入っていました)。

VGN-FZ51B

仮リフローで改善を確認しましたが…

VGN-FZ51B

実装会社でのチップの再実装後、症状が悪化。電源が一瞬入って落ちる、という最悪の結果を招いてしまいました。リスクにご同意いただいているとは言え、ショックはでかい。マザーボードやGPU上のコンデンサからは多くの導通反応が出ています。どこかがショートしている…。GPUの半田はX線で検査済みです。

基板は再々実装へ。今後はサブ基板とACも送り、実装後に電源が入るかまでを現地で確認してもらうことに。これが何度やってもだめだそう。チップの取り外し時、凄まじい加熱により、GPUには強烈なストレスがかかります。この熱でGPUが死んだ可能性も否定できません。

GPU以外のどこかが損傷を受けた可能性もあり、電源が入らない原因の切り分けが出来ません。これはだめかな…とあきらめかけた時、ふと思い付きました。ショートしている可能性のある、GPUを外したらどうなる!?

早速、実装会社に連絡を取り、GPUを外し、基板のランドを清掃した状態で電源を入れてもらうと…入りました!LEDがゆっくりと点滅しているそうです。後の検査で、GPU上のコンデンサは問題なし。やはりチップ内部で何らかの不具合を起こしていると考えました。前記事同様、現在、手配したチップの到着待ち(船便なので時間がかかる)。結果は後日報告したいと思います。

★2016年3月を以て、グラフィックチップの修理は、受付を終了しました。データ救出は対応可能です。

【後日談】

VGN-FZ51B

前記のチップがショートしていると想像した1台、IC載せ替えでめでたく復活しました。いやぁ~、ほっとしました。