TOSHIBA Dynabook Qosmio F20/490LSW、初めて修理する機種です。
破損箇所が多く、とても長いページになってしまいました。ご依頼内容は…
ここ2年くらい電源ジャックがグラグラした状態で、接点を調節してガムテープで固定しながら使用していたのですが、昨夜ACコードを外して付け直したところ、ついに電源が取れなくなってしまいました。USBポートの方は、まったく反応しない箇所が1つ、テープで固定しなければうまく接続できない箇所が2つあります。
解体経験がないので、ネットで情報収集。DCジャックはケーブルでマザーボードと接続、USBポートは側面と背面、両方ともサブ基板になっているようです。ヤフオクを覗くと、F20の下半身ジャンクが手に入るが高いね。実機を見てからでも遅くはない、敬遠して到着を待つことにします。
↓到着後、すぐにピンと来ました。DCプラグが曲がりすぎている…。電圧を測定してみると、案の定、電力は全く来ていません。湾曲した辺りで断線していると思われます。
当方にあったACアダプターを挿してみます。
DCジャックは画像の通り、無理矢理差し込んだ後、引っ張ると飛び出してしまいます。
前面のLEDを見てみると…通電しましたね。まずはACアダプターの故障が確定。
そしてUSBポート。側面です。外から見る限り、右側は大丈夫そう(マウスが動いた)、左は内部の黒い四角い樹脂?が欠落しています。
背面です。こちらは内部端子が見えません。破損しているようです。
分解を開始。長年のホコリがマザーボードに降り積もっていますね。内部清掃をしてから作業を開始しましょう。
まず、DCジャック。固定する出っ張りが破損。コネクタは中へ外へとスポスポ状態です。USBやこの部分を見ると、各所にかなりの衝撃が加わったと想像できます。
ジャックは固定すれば修復出来そうですが、USBコネクタは交換が必要です。しかし、ネットで検索しても、同じ規格のものを見つけることが出来ません。
当家の宝(ジャンク)箱を漁ってみます。なかなか見つからない。あきらめかけた頃、1枚出現しました。同じQusmioのG10のマザーボードと思われます。
合計3つのコネクタが付いていました。しかし使えるのは1つのみ。残り二つは合いません。
破損箇所は3カ所、背面USBは内部端子が外れています。どこを替えようか…悩むことはないですね。使い勝手から背面は却下。側面の1ヶ所はかろうじて生きているので…
側面のボロい方(写真右側)を交換しましょう。左側は傾いた内部端子を微調整すれば完全復活するかな。しかし良く見てみると…
半田に大きなクラックが出来ていました。やはり強い衝撃により破壊された模様です。ここは後で再半田を予定。
背面の方から修復します。飛び出してちぎれた端子を内部に戻し、振り切った金属のストッパーを戻して固定、そして半田付け。ん?あっ、後ろのチップパーツが無い!
外れていた内部端子は、外から中へ突き抜けるように衝撃が加わったようです。その突き抜けの際、真裏にあるチップ2つを吹き飛ばしてしまった。FL1(フィルター)の文字だけでは、元々何が付いていたのか、正確にはわかりません。この時点で、このポートはあきらめとしました(初めは黒いテープが被さっていて気付かなかった)。
側面にいきます。ボロい方を破壊して取り外します。
次にG10から同型のコネクタを外します。足は7本。こちらは破壊するわけにはいきません。
以前、壊れたDCジャックを外せなくて、泣きそうになった記事を書きました(一人じゃムリ、結局破壊した)。しかし、今回は我がカミさんが在宅しています。半田ごて2本で7本の足の半田を溶かしまくり、反対側からコネクタをジワジワ引っ張ってもらう…
無傷で取り外しに成功。共晶半田を追い盛ったので、毒ガスを吸わないよう、この間は呼吸を止めさせました。
元のサブ基板。
コネクタをはめ込んで半田を流し込みます。隣の半田クラック部分も修復しました。
移植完了です。
ラストは、飛び出し&へこむDCジャック。グルーで固定、本体を完全に組み上げた後、プラグを抜き差ししていたら、ジャックがスポッっと抜けてしまいました。ホットボンドでは弱かったか…。
再度分解し、試行錯誤。どうしてもガッチリ固定できません。
最終手段を取りました。エポキシ。ピン折れなどの時に後で取り外しに苦労するので、DCジャック修理には出来るだけ使わないようにしています。けど、今回は仕方ないですね。
しばらく圧着。
今度は大丈夫です。カッチコチに固まってますから。
起動はOK。
USBも側面2ヶ所はOK。背面はやはりご臨終。
今回の修理はここまでとします。
ふぅ~、くたびれた。