3/25-4/20の間に、画面が映らない・起動しない症状で修理した、富士通のFMV-BIBLO NF/E40とNF/G40、振り返ってみると6台もありました。
この中には再発したものも含まれています。結果的には全て直っていますが、一筋縄ではいかなかったものも…ご依頼は5台がチップの再実装、1台はリフローです。
診断の順番は、(1)メモリー(2)CPU(3)チップセットになります。
動作検証用のCPU、AMD AthlonⅡ M300とM320、単品での入手が結構困難。動作品は用意していますが、今までCPUが壊れていた例は一度もありません。全てチップセットの故障です。
グラフィック内蔵のチップセットを仮リフロー(15秒ほど加熱)、100%の確率で画面表示が復帰しています。
ですが…左上の一台、これは以前リフロー修理をした再発品、仮組みの画像をよく見ると…
ノイズが混じって乱れています。リボールで直るだろ、とたかをくくっていましたが、
- リボール再実装 1回目 → ノイズ
- リボール再実装 2回目 → 画面表示がなくなる
- リボール再実装 3回目 → ノイズ
という状態。半田の不具合ではない…チップが死にかけているようです。
この機種では初めての、チップセット載せ替えになります。
↓画像の中央を見てください。とても薄いチップセット。チップ自体も加熱で反りやすいです(経験済み)。
チップセットの載せ替え修理、結果は成功。チップ同様、マザーボードも激薄で、すぐに反りが生じます。実装会社さんには細かい指示をいろいろと出させてもらいました。当方からはステンシルや剥離剤の提供、先方からは繰り返される難題へ応対、ギブ&テイクで良い関係を保てているかな。いつもありがとうございます。
次。こちらは唯一のリフロー修理依頼。オークションで動作品を購入、すぐに起動しなくなってしまった。出品者に連絡するも、なしのつぶて。一切の連絡を拒否されている状況だそうです。売り逃げですね。
この機種に限らず、ちょっとした加熱で一時的には直ってしまうものですから、修理歴を隠して完全動作品として出品されているパソコンが氾濫しているように思います。オークションでパソコンを落札する場合、他の出品物や評価である程度の想像は出来ます。過去にヒートガンを落札している人の出品物は要注意!(笑)
さて、そのジャンクと言ってよいNF/E40、分解していきます。やはり、解体した痕跡があちらこちらに残っています。
ヒンジ部分。ネジ山がなめています。液晶を倒した状態では、パネルの重みでヒンジパーツに負荷がかかります。その負荷により、ネジには横に引っ張られる力が加わっています。この状態でネジを外したり、留めたりすると、当然素直に回ってくれず、力を入れ過ぎて、ネジ山をなめてしまうわけです。液晶を立てるか、倒すなら何かで支えて作業するようにしましょう。
チップセットです。フラックスを清掃してないのでギトギト。かなり乱雑な作業をされた感じがします。
当方でのリフロー後。フラックスをきれいに除去し、基板をアルコールで洗浄しています。なるべく痕跡は残さないようにしたいですね。
この機種、分解は非常に簡単です。しかし、組み上げする際、非常に苦労する部分があります。それはヒートシンクの取り付け。
青枠の下にCPU、赤枠の下にチップセットがあります。もともとチップセットとヒートシンクには隙間があり、そこをシリコングリスで埋めてあります。組み上げの際は、この隙間をいかにして埋めるかが重要です。シリコングリスを大盛りにして埋めても、再発してしまうのは目に見えています。
裏側。四角にネジがあります。これは銅板のテンション調節用です。元は全て締まった状態。組み上げ時は微調整が必要になります。これ、チップ再実装後のマザーボードの反りには激しく個体差が出るため、決まった調節方法が無いのが厄介。0.1mm単位で、両ICに自然に密着するまで試行錯誤の調整。隙間はシリコングリス以外のもので埋めます。今回、この作業だけで2時間かかった基板もありました。
ヒートシンクを取り付けては温度測定。CPUは放置状態でも爆裂温度なので手を抜けない大事な作業です。
NF/E40・NE/G40のチップセット再実装修理。当初は薄いマザーボードの反りに苦労させられましたが、現状の成功率は100%です。チップが破損していた場合の、載せ替え用チップの在庫もありますので、安心してご依頼ください。
メーカー等でマザーボードを交換しても、近い将来同じ症状になることが予想されます。リボール時には共晶半田を使用しますので、新品マザーよりも耐久性に優れていると考えています。
★2016年3月を以て、グラフィックチップの修理は、受付を終了しました。データ救出は対応可能です。