Qosmio F40の画面が映らないPCI Expressカードをリフローしてほしい、とのご依頼。それも5枚です。
お送りいただいたのは、ネジ無しの機体87EBL一台、PCI Expressカード5枚です。
初め、同業さんかな、とも思ってしまいましたが、ご趣味で中古パソコンを購入されているそうで、紳士的なおじさまという印象のお客様でした。
カードは全て同じものではなく、GPUも違うものが混ざっています。型番に関わらず、どれでも認識するのかな?と半信半疑でしたが、修理を開始します。
まずはリフロー前に、はがしたシリアルや保護シールの整合性を取るために各基板に番号付けします。
はがしたものを順番に並べておきます。上から3番目と4番目の保護シートに熱による変形が見られます。リフロー歴アリかもしれません(お客様ご自身がされた訳ではないと思います)。
GPUには糊がべっとり残ってしまいました。
ヒートガン登場です。これでリフローするわけじゃありません。糊を剥がす為の加熱用です。
HAKKOのヒーティングガン882、温度調節が出来て便利。さらに私にとって最も役に立っているのが、Hotでは無く、Coolモード。まぁ、送風なわけですが、リフロー後のチップを即時に冷却するのに毎回使っています。
さて、全てのカードの糊を綺麗にしました。
これは5番の基板。GPU周りにフラックスの流れ出た跡。これもリフロー歴があるようです。
下準備にはいります。今回はチップが大きめなので強力なホットエアーを当ててリフローします。
壊したくないので、養生も念入りに2段重ねで。えっ?元から壊れてるって?まぁそうなんですが、周りのチップ部品の巻き添え防止です。
一枚ずつ、加熱・冷却を繰り返し5回。
焼き上がりました。GeForceのホイル焼き。
残骸。
沸騰してはみ出してきたフラックスを清掃後、基板をアルコールで、カードの端子部分を接点復活剤で磨いて動作確認の準備完了です。
しっかりと組み込んで、1ま~い、2ま~い、3ま~い、順調にQosmioのロゴが表示されていきます。
前科ありでちょっと心配だった5枚目もクリアー。パーフェクトです。
このF40、画像のような仮組み状態ではバックライトが点きません。以前にも経験がありますが、点くもの点かないものがあるようです。
パームレスト右手の↓このケーブルを差すことで…
バックライトが点きます。
再度、5枚のカードでそれぞれ本組みして動作確認です。
組み立てては短時間ながらもDVD再生、ばらしてカードの入れ替え、組み立てを5回繰り返します。
お客様にはBIOSまでの確認で良いと仰っていただきましたが、最低でもOS起動までは確認しないと心配です。結果的に型番バラバラのカード全てが87EBLで動作しました。
また、直らなくても全ての料金をお支払いします、とも言われていました。これはダメです。
直せない場合は、診断料のみ。「勉強」と「経験」がなによりの報酬になっていますからご安心下さい。
午前中到着、夕方発送が何とか間に合いました。修理中、カミさんに言ってありました「5枚全部直ったら今日は外食ね」。心地よい疲労の中、美味いビールを堪能してきました。