東芝のAVノートPC、QOSMIO F40/88EBL、全く通電しません。
電源ボタンを押しても完全ノーリアクションです。バッテリー充電のランプも点きません。こういう状態の場合、単純な理由で直るか、全く原因がわからず断念するかというパターンになるのですが…
お客様からの情報によりますと、
電源が入らない、ACアダプタを接続してもどのインジケータもつかない。本体側のコネクタ部分を確認したが断線はなし、ACアダプタもテスタで見る限りは正常。
とのことです。その他、一部ヒューズのチェック等、ある程度分解して不具合箇所を探されたようです。とくに必要のない、キーボード上のパネルは外したままお送りいただきました。
それでは、私の方でも分解して各部をチェックしていきましょう。
基板上のDCジャックコネクタには19Vの電圧が来ていましたが、念の為コネクタを交換してみます。改善せず。
CMOSバッテリーの端子の半田を片方外してリセット。改善せず。
どうやら単純な理由では無いようです。マザーボードを外します。基板上にいろんなものが載っかってます。ほんとは全部外してからチェックしたいのですが、結構手間が掛かるので、コンデンサやヒューズなど見える部分から検査してみます。
ヒューズ切れはありませんが、複数のコンデンサから導通反応が出ています。
こことか、
こことか。
メールのやり取りの中で、何か故障の前兆のようなことは無かったか聞いてみました。
すると最も大事なことが…
電源が入らなくなる前は「電源は入るが画面が映らない」状態、そのうち電源も入らなくなってしまった。
ということは、通電しても画面は映らないということになります。グラフィックチップの故障と思われますね。しかし、GPUが壊れていても電源は入るはず。GPU以外に原因がありそうです。
横着していましたが、複雑なヒートシンクとメモリー・カード類を全て外しました。
CPUのみを付けたままで電源ON。おおー、LEDが点いたぞ!
少しずつパーツを戻しながら確認、残ったのはGPU搭載のPCIカード。これを差すと通電しません。やはりですか。
まずはBGAパッケージに、手っ取り早くてダメージの少ないリフローを軽く施してみます。結果は×。まぁ、予想通りですが。
次にPCIカードのコンデンサを交換します。見た目では何の異常もなさそうですが、あちこちから導通反応が出ています。
まずはやり易そうな裏面のC114。ハズレ。戻します。
次に表面のC303とC304。隣接しているので2個とも外します。
アタリ!303、304どちらかはわかりませんが、片方が死んでいました。よーく見ても外傷は無いんですが…。
両方とも新品のコンデンサに交換します。
ちょっと八の字になっちゃいました。
余談ですが、以前修理した基板の、わかり易い不良コンデンサです。
下半分に外傷。
亀裂。
さて、長くなったので先を急ぎます。
コンデンサ交換により、通電・ロゴ表示を確認。マザーボードのコンデンサの導通も止みました。GPUはこの後、きちんとリフロー処理して組み込み。
仮組みで液晶表示も確認。
この小さなコンデンサひとつがパンクしただけで全く通電しないんですね。勉強になりました。
ストレステストを行い、修理完了とします。
完璧に通電しないノートは直せない事も多いです。今回は原因がPCIカードだったのでラッキーでした。