Lenovo Ideapad S540-15IML、電源が入らない(充電出来ない)というご相談。
ご依頼者様はDCジャックの破損を疑われているようで、実際にそうだったのですが、構造上ちょっとおかしいのでは?と思わせる事例でした。メールにて詳しく経緯を教えて頂いています。宮城県よりご依頼。
- 数週間前から、充電のACアダプタを挿してもうまく充電が始まらない
- 角度を調整して固定したり、少し奥に押し込んだりしてなんとか充電できていた
- 最終的に完全に充電出来なくなった
- 別のACアダプターを使用しても、症状は変わらず
- 他社に持ち込んで詳細診断、DCジャックがマザーボードに直付けになっているらしく、メーカーならばマザーボード交換になるが、マザーボード修理として対応するということで、5万円弱の見積もりを出された
詳しい情報助かります。
この機種について調べてみると、どうもDCジャックのセンターピン裏側がメチャクチャ細いタイプ。衝撃を与えた覚えは無い、ということですが、僅かな亀裂から後ろ側のピンが切断されているのでは無いか、と予想しました。
さて、実機到着。早速開封します。DCジャックはヒンジの下に隠れています。ヒンジをめくりましょう。
開いた瞬間に目に入った「違和感」については次の画像で説明しますが、まずプラスピンの半田クラックを確認、ただし導通はあるのでピンは折れていません。
拡大するとわかります…上の赤丸部分、これが遠目から一番初めに、目に付いたのです。
これは何かというと、半田クラックでグラグラになったプラスピンがヒンジと接触、ショートしたスパーク痕です。黒くすすけています。
顕微鏡を覗いてみましょう。半田が薄く、ピンは完全に抜けきっていますね。そしてヒンジと接触した部分は削れて焦げています。
プラグを差して、充電出来る位置を確認していた際に上下に動いていたんでしょうね。
DCジャックは交換する必要なし(診断した業者さん、ほんとは中見てないでしょ?)。
ピンを押込んだ状態で、半田をたっぷり流し込み補強修復。
充電問題なし。
ただ、このピンとヒンジに隙間がほとんど無いと推測できます(ヒンジを被せると見えない)。ヒンジはGND(マイナス)なので、万が一接触するとショートして電源が落ちます。この部分に絶縁処理を施して、修理完了となりました。
第10世代Core i5マシン。わずか2年あまりで、半田の経年破損。超極細でおかしな形状(フックみたい)のプラスピンも謎ですが、ヒンジと接触する可能性がある絶縁無し設計には疑問符がつきます。
まぁでも、重症じゃ無くって良かったです。価格も診断された業者さんよりはるかに安価で完了しました。ご依頼ありがとうございました。
追記:続発しているようです。
お問い合わせの際は、S540-****の*部分の英数字を教えて下さい。
■ ピンが折れていた例↓